とある日のよく晴れた昼下がり

それはとても気持ちがよくて、昼寝をするにはもってこいのはずなのだが
一人で昼寝をするのには少し寂しい・・・・・そんな陽気である


「お姉さま・・・・」
儚く消えそうな声で呟く
一体何処に居るのだろうか、誰と・・・・何をしているのか・・・・
気が気でならない
しかし、こんなに思っていても届くことのない思いに苛立ちを覚えながらも
今日も一人野原で寝そべるのだ


一体どれ位の時間が過ぎたのだろうか
辺りの草木はは夕焼け色に染まっていた
(お姉さまと出会ったのもこの位の時間・・・・)
ふと思い出した記憶が心を暖かくする

会いたい


何度そう思っただろうか

名も知らない人に対するこの気持ちを何と呼べば良いのだろうか

もう、この場所へは来ないのではないだろうか・・・・

ふと人影が見える

「?!」

『こんにちは』

優しく柔らかい声に包まれて、溺れてしまいそうだ

「こ、こんにちわ!」

いきなり現れた思い人に動揺を隠しきれない
しかし心の中では何時か現れるのでは、と思っていた

『クスッ・・・・驚かせちゃったかしら?』

「い、いえ!」


『今日は夕日が綺麗ね・・・・』

「そう・・・ですね・・・・」

貴方のほうが綺麗だなんて思うのはきっと自然なことで
夕日よりもその横顔に見とれてしまう


しばらく沈黙が流れる

この状況を打開しようとするが上手い言葉が見つからない・・・・

もう少し・・・・・もう少しだけ・・・・・

一緒に居たい


さて、もう暗くなるから帰らないと』

「ぁ、はい・・・・」

『君も早く帰らないとおうちの人が心配するよ?』

「私は大丈夫です。家はこの近くなので」

『そうなの?私もなの。こんど遊びに来ない?』

心にも思ってなかった言葉に体が硬直する
・・・・・・夢・・・・ではない・・・・らしい

『いやならいいんだけど・・・?』

いたずらに微笑む彼女
夕日に照らされている姿はまるでこの世の物とは思えない美しさ

「いっ!いえ!是非行かせてもらいます!」

『そう。じゃぁ今度の日曜日の午後にこの場所に集合でいいかしら?』

「はい!!」

『それじゃ、またね』

彼女は大きく手を振りながら遠くへ消えていった


この想いは一体なんだろう
暖かく、もどかしい
貴方に会えただけでこんなにも心が安らぐ

「待つっていうのもいいかもしれないな・・・・」

穏やかな表情で夕日を見つめる

「ぁ、名前聞くの忘れた・・・・」

やわらかい風が吹く、まるで貴方のような

「クスッ・・・・また今度でいいか」

貴方が隣に居るような・・・そんな気がした