二人きりのお茶会
午後三時、教会の鐘がなる
午後三時、お茶会が始まる
午後三時、とても楽しみな一時
海に面した静かな田舎町
そして小高い丘の上に一軒のマナーハウスがある
そこに住んでいるのは一人のお嬢様と一人の執事
パタン・・・
「お茶にしましょう」
コテージのイスに座りながら読んでいた本を閉じて私に微笑みかける
「はい、お嬢様」
私はいつも通り厨房へ向かい紅茶を淹れ、戸棚にあるお茶菓子を出す
よく晴れた昼下がりだ
白い陶磁器のティーカップとお茶菓子をトレーに乗せ運びながら思う
「本日はアッサム茶です そしてお茶菓子はマカロンとマドレーヌです」
「ありがとう」
いつもの白いパラソルの下でお茶を飲む
いつも通りの時間が流れる
「うん、今日のお茶もおいしいわ」
お菓子を嬉しそうに手に取り食べる
こういうところを見るとまだまだ子供だなと思ってしまう
「お菓子もおいしい」
「そう言って頂けると幸せです」
心からそう思う
他愛もない主人と従者の会話
ゆっくりとした時間が流れる
船も、遠くに見える人も、猫もみなゆっくり動いているように思える
願わくば、この一時が永遠に続かんことを
ゴーン、ゴーン、ゴーン・・・・・
4時を告げる鐘が鳴る
「あら、もう1時間たったのね」
「それでは、私は夕食の買い物に出かけて参ります」
「分かったわ、気をつけて行ってくるのよ」
「では」
これはとある国のとある町のとあるお嬢様と執事お話