“イギリスでは好きな人にチョコを送るのではなく
恋人や親しい人にプレゼントを贈る”
雑誌の特集にひっそりとと書いてある言葉は私の目を引くのに十分だった
それも名前を告げずに渡す
ああ、なんて耽美的なのだろうか
今年はあの人に贈り物をしよう
それも花束を
あの人の好きな白い百合の花にしよう
百合の花に様に美しく謙虚な彼女は喜んでくれるだろうか
きっと満開の花のように綺麗に笑ってくれるに違いない
いつ買いに行こうか
どのように渡そうか
名前は書かなくても分かってもらえるだろう
彼女のことで頭が一杯になった私は自然と笑みが零れた
ああ、こんなにも行事ごとは楽しいのか
私は部屋を後にした
送りたいし送られたいですよね 花は